長野銀行では「第11次中期経営計画」を策定し、「不断の改革と更なる進化」をスローガンに、「業務運営改革」に取り組んでいた。その施策に掲げている「BPRの推進による業務の効率化を図り顧客との接点時間を拡大する」を実現すべく源泉所得税の納税事務の事務効率化と本部集中化を図るため、NTTデータ『外部連携(「電子申告の達人」カスタマイズオプション)』を導入。その活用により、営業店の納税事務を本部に集約し、営業店の事務を削減。事務処理時間を月14.5時間短縮した。さらに、銀行全体のBPRの推進を図り、人事部や総務部が手作業で処理していた個人住民税や償却資産税申告にも「電子申告の達人」を活用し、事務効率化を図った。
事務部 事務センター長
玉木 久美子氏
第11次中期経営計画のもと、営業店の顧客接点時間を拡大するために、BPRの推進を重点施策に掲げている。その一環で、営業店の納税事務(預金利子税)の本部集中化の検討をしていたが、その事務を本部で引き受けるには、新たに人員を手配する必要があり、具現化できずにいた。「事務部 事務センター 事務集中課が、営業店の事務処理を本部に集約する業務を担ってきたのですが、2019年の4月の組織変更で証券事務も事務センターに集約されて業務量が増えたこともあり、52 店舗の処理が集中した場合、増員なしでの対応は難しい状態でした」と事務部 事務センター長 玉木久美子氏は課題を説明する。
2019年9月に行われた地方銀行・第二地方銀行向け基幹系共同センター「STELLA CUBE」の会合で、「電子申告の達人」を導入した銀行の事例紹介があり、それをきっかけに「電子申告の達人」の導入検討を始めた。NTTデータの提案には、事務部以外の部署にも「電子申告の達人」を活用できるという内容があり、各部署と連携を取る中で、人事部と総務部に電子申告で改善できる事務処理があることがわかった。「給与支払報告書は、データを抽出し、CD-Rに給与支払明細書を格納、総括表をつけて市区町村ごとに封入封緘し、書留で郵送するのに2、3日かかっていました」と人事部 人事課 係長 上野知恵氏。「毎年、償却資産申告関係報告の帳票を作成し、該当市区町村に郵送していますが、約300枚分の書類を印刷し公印を押し、郵送する作業に半日かかっていました」と総務部 管財課 係長 安坂貴恵子氏。「電子申告の達人」を導入すれば、複数部署の課題を解決できると判断し、長野銀行は即座に導入を決断した。「電子申告利用の懸念は、電子送信するデータが正しいかどうかでした。そこで、過去6か月分のデータを使って「電子申告の達人」用のデータファイルを作成し、納付書と1つ1つ突合して、間違いがないかを全部検証しました。試験はしっかりやりました」と、事務部 システム課 課長代理の渡辺修吾氏は、導入にあたって実施した検証の内容を説明する。2020年1月、人事部と総務部の電子申告を先行し、3月に証券の利子・配当金等の源泉所得税、4月に預金利子等の源泉所得税、9月に国外送金等支払調書で「電子申告の達人」が稼働を開始した。
総務部 管財課 係長
安坂 貴恵子氏
人事部 人事課 係長
上野 知恵氏
「電子申告の達人」の導入により、営業店の納税事務を本部集約することができた。毎月の納税事務の処理時間は各営業店15分、52店舗合計で13時間。これを事務部 事務センター 事務集中課が「電子申告の達人」を利用した事務では約2時間で処理が完了。大幅な業務時間短縮の効果を得ることができた。さらに、証券業務の納付書転記・検証と、歳入金の取りまとめ、本店営業部での収納事務を合計3.5時間短縮することができた。この営業店と事務部の事務処理時間を合わせると銀行全体で月14.5時間の短縮効果が図れたことになる。「もともと納税データは「STELLA CUBE」が持っている。そのデータを利用し「電子申告の達人」用のデータを作成した。事務を行う担当者が、そのデータをそのまま達人に取り込めるようにすることで、誰が操作してもミスがおきないようにしました」とシステム課の渡辺氏。総務部の安坂氏は「以前は、該当市区町村ごとに仕分けし、封入封緘作業に半日かかっていた償却資産税申告書の事務が30分で済むようになりました。これにより作業時間短縮、用紙代、郵送料の削減ができ、さらに短縮できた時間を他の作業にあてられることは、大変ありがたいですね」と導入効果を話す。人事部の上野氏も「これまで2、3日かかっていた作業が2時間以内で終わり、郵送料も大幅に削減できました」と導入効果を話す。
事務部 事務センター長 玉木 久美子氏
(右から3人目)
事務部 システム課 課長代理 渡辺 修吾氏
(左から1人目)
他申告・納税担当者
「電子申告の達人」を複数の部署で活用することで、これまで改善が進まなかった業務を効率化することができ、中期経営計画の重点施策であるBPRの推進にも弾みがついた。「地方税を早く進めていただきたい。電子申告ができる税務関係はすべて電子化するというのが一番の望みです」とシステム課の渡辺氏は話す。「これまで長野銀行では、各部署で業務を進めてきて、他部署がどのような税務事務をしているか把握できなかったのですが、『電子申告の達人』を導入する過程で他部署を巻き込んだことは、本当の意味で横のつながりが生まれました。このことは、今後税務以外の分野におけるBPRの推進においても、大きな効果を発揮することになると期待しています」と、玉木氏は今後の展望を話してくれた。
所在地 | : | 長野県松本市渚2丁目9番38号 |
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創立 | : | 1950年11月15日 |
資本金 | : | 130億円 |
URL | : | https://www.naganobank.co.jp/ |
事業内容 | : | 「当行は、お客さまと株主の皆さまおよび従業員の幸福と繁栄のために全力を尽くします」との経営理念のもと、地域社会を支える個人と中小企業の成長・発展の為、質の高い金融サービスを提供している。 |
※ 記載されている内容は2020年11月現在のものです。