みずほ銀行は、投資信託を扱うことにより発生する利子や配当などの源泉所得税の納付業務に、NTTデータの「電子申告連携の達人」と「達人Cube」を利用した電子申告と電子納税(ダイレクト納付)の仕組みを導入した。これにより、現在毎月全国約400支店分の1,000枚を超える膨大な所得税徴収高計算書(納付書)の作成や納付手続きなどの煩雑な業務を省力化し、大幅な効率化と信頼性向上を実現した。
NTTデータでは「電子申告連携の達人」を含む「電子申告ソリューション」を提供しており、電子申告に関する豊富なノウハウや実績で、申告業務の電子化を強力にバックアップしている。
毎月1,000枚を超える納付書の作成や納付手続きなどの多大な業務負担
所得税徴収高計算書作成時の記入ミスや記載漏れによる手戻りなどの潜在的なリスク
膨大な納付書の手書き作成と銀行窓口への納付手続きが不要となり、業務が大幅に効率化した。
納付書作成時の潜在的なリスクを排除し、業務の信頼性の向上が図れた。
株式会社みずほ銀行 本部事務サービス部
運用商品事務チーム
調査役 兼務 確定拠出年金支店 課長代理
関 善幸氏
銀行や証券会社などが扱っている投資信託の利子や配当などの源泉所得税の納付は、2008年度税制改正(2010年1月施行)を機に、それまでの投資信託の資産を預かっている信託銀行が代行して納付を行える特例がなくなり、口座保有機関である営業店舗(支店)ごとに納付書を作成して、源泉所得税を納付することとなった。
みずほ銀行では、全国約400支店分の源泉所得税の徴収業務を本部で集約して行っており、法改正後は全支店分の、膨大な納付書の作成と納付手続きに追われることになったという。そうした状況について、みずほ銀行本部運用商品事務チーム調査役の関善幸氏は次のように語る。「当初、当部にて約400支店分800枚を超える納付書を作成して納付する業務が毎月発生していた。毎月10日が納付期限のため、特に5月は連休があることから人手がいても間に合わず、休日出勤をしてまで業務をしなければならないという懸念もあった。また納付書の記載誤りや金額誤りは許されないことから、煩雑且つプレッシャーのあるこれらの業務を何とか改善したかった」
こうして業務の改善に向けて、効率化が図れるシステム導入に向けた検討を重ねる中、同行が出会ったのが、NTTデータの電子申告ソリューションだった。
株式会社みずほ銀行 本部事務サービス部
運用商品事務チーム
調査役 山内 賢氏
「e-Taxの仕組みは知っていたけれど、自社で電子申告のシステムを組むのは難しく、困っていた。」と同部運用商品事務チーム調査役の山内賢氏は語る。
NTTデータの税務申告ソリューション「電子申告連携の達人」は、法人企業が既存のシステムで作成している大量の法定調書や地方税の申告書などを、既存のシステムと連携して電子申告が行うサービスだ。ERPパッケージなど既存システムで作成した申告・申請データ(CSV)を取り込んで、電子申告に必要なデータ(XML)に変換し、電子申告を実現できるため、既存システムを大きく変更することなく、シームレスな電子申告が実現する。
みずほ銀行では源泉所得税の納付業務の抜本的な改善を図るためには、電子申告の仕組みを導入することと、加えてなるべく人手をかけずに一括且つ自動で処理ができる機能が不可欠と判断。要望に見合うサービスやソリューションを探した結果、電子申告を可能にする唯一の候補が、NTTデータの電子申告ソリューションだったという。
そこで、2011年5月にNTTデータに対してシステム導入に向けた提案を依頼、両社は共同で源泉徴収業務の省力化に向けて電子申告の導入に取り組むこととなった。「当初は自社開発も検討していたが、電子申告の実績が豊富なNTTデータに相談するのが最適と判断した」と山内氏は語る。
「簡単な操作で手続が完了するような省力化を目指していた」と関氏も語る通り、源泉所得税の納付業務の電子申告化に際して、みずほ銀行で重視していたのが、一括処理や自動化など運用に人手を極力かけない仕組みにすることだった。
そこでNTTデータでは、みずほ銀行の要望をもとに、「電子申告連携の達人」と「達人Cube」の仕組みを利用して、所得税徴収高計算書の納付とダイレクト納付の処理を行う機能を開発した。実現した電子申告の流れは以下の通りだ。
まず、利用者は、投資信託のシステムから出力された源泉所得税の申告用データ(CSV)を、「電子申告連携の達人」で取り込む。この際に電子申告用データ(XML)に変換し、そのデータを「達人Cube 電子申告機能」を利用して「e-Tax」に一括送信する。e-Taxに送信された申告用データを元にe-Tax上で納付データが生成されるので、利用者はそのデータを「達人Cube メッセージボックス機能」を利用してダウンロードし、改めて電子納税(ダイレクト納付)を実施することで処理が完了する。納付完了を知らせるメッセージも届くため、メッセージボックスで一括管理することも可能である。これら一連の処理は簡単なオペレーションで行われるため、利用者の大きな負担無く処理をすることが可能である。
みずほ銀行では、2011年10月から電子申告と電子納税(ダイレクト納付)の仕組みを使って、投資信託業務における源泉所得税の納付業務を行っている。
みずほ銀行では、NTTデータの「電子申告ソリューション」を活用して源泉所得税の納付業務の電子化を果たしたことで、毎月1,000枚を超える納付書の手書きや納付手続きが不要となり、大幅な効率化を実現した。
この仕組みを導入するにあたり、400支店分のe-Taxの利用者識別番号を取得する必要があったり、ダイレクト納付のための口座振替依頼書を送付する必要があるなど、事前手続きにやや時間を要したものの、導入自体はスムーズに完了している。
今回の導入成果について関氏は、「これまで数名の行員が毎月かかりっきりで納付書の作成に追われていたが、今では処理を行う担当者1人とチェックをする者が1名の2名だけ。オペレーションする時間は実質1時間程度となっている。また以前はミスを減らすための厳格なチェック体制を整えたりして臨んできたが、そのために、人手と時間がかかっていた。しかし手作業での膨大な納付書作成には記載誤り等といった潜在的なリスクがどうしても伴う。電子申告でそうしたリスクを回避できた意義は大きい」と語る。
今後については、業務効率化に加えて信頼性向上にも貢献する電子申告を利用した納付手続きを、まだ地方公共団体での環境が整っていない地方税の納税手続きにも利用したいと考えており、早急な整備を待ち望んでいる。また、証券税制の変化に伴った日本版ISAなどの新しい仕組みに対しても積極的に導入していけるようになるといいという。
なお、申告手続の一括処理など新たに開発した機能は、NTTデータの「電子申告連携の達人」にサービスとして実装されており、手軽な導入が可能だ。今回の成果を受けて山内氏からも、「本システムを活用すれば、当行のように申告業務を本部に集約して支店の負担軽減を図ることも可能だろう。多くの企業が電子申告を早く導入して、業務効率化や信頼性向上に役立ててほしい」との声が寄せられた。
お客様名 | : | 株式会社みずほ銀行 |
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本店所在地 | : | 東京都千代田区丸の内1-3-3 |
発足日 | : | 2013年7月1日 |
資本金 | : | 1兆4,040億円 |
主な事業内容 | : | 預金・貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、外国為替業務など |
※ 記載されている内容は2012年9月現在のものです。